妊娠初期は、嬉しさと同時にそれまでの生活がガラッと変わる時期ですよね。

自分の体調はもちろん、特におなかの赤ちゃんのための食生活は気を付けないといけません。とはいえ、何を食べれば良いの?と悩んでしまうことはありませんか?

そこでここでは、

  • 妊娠初期に摂るべき栄養素
  • 妊娠初期におすすめな食材

を分かりやすく解説していきます。

おいしく楽しいマタニティライフの参考にしてみて下さいね。

ご協力頂いた専門家
看護師ライター
広田 沙織
元国立系病院 産婦人科看護師
元婦人科クリニック看護師
三次救急指定病院の産婦人科に勤務し、妊娠合併症、胎児病、心疾患や脳血管疾患などの合併妊娠、多胎妊娠などさまざまな症例を経験。その後、婦人科クリニックや老人福祉施設など、医療福祉分野で活躍。現在、看護師ライターとして医療情報サイトや妊娠・出産情報サイトなどにて記事を多数執筆中。

※本記事内の情報は一般的な知識であり、症状の自己判断を促すものではありません。気になる症状がある場合、まずは医療機関に相談しましょう。

1. 妊娠初期とは

妊娠初期食べ物

妊娠初期とは、主に妊娠が判明する、妊娠2ヶ月(4週目)から妊娠4ヶ月(15週)までの時期のことをいいます。

この期間はお母さんに様々な症状が訪れます。

妊娠初期のお母さんの状態

・生理が止まる
・便秘、下痢
・頭痛、体のだるさ
・基礎体温の上昇
・つわりによる食欲不振

個人差はありますが、特に「つわり」では、吐き気や食欲減退、味覚が変わるなどといったことが起こります。

つわりは妊娠12~15週(4ヶ月目)頃に徐々に落ち着いていくのが一般的です。つわりの間は、無理をせず、食べたいものを食べられるときに食べるようにしましょう。

次からは、妊娠初期に摂りたい栄養素や食べ物について詳しくご紹介します!

2. 妊娠初期に摂るべき栄養素とおすすめ食材

妊娠初期食べ物

妊娠初期に特に摂るべき栄養素は6つあります。

妊娠中に摂るべき栄養素

① 葉酸
② カルシウム
③ 鉄分
④ ビタミン
⑤ 食物繊維
⑥ たんぱく質

次からは、これらの栄養素と、多く含まれているおすすめ食材を詳しくご紹介します!

① 葉酸

妊娠初期食べ物

葉酸は水溶性ビタミンの1つで、ビタミンB群の仲間です。細胞や血を作り出すはたらきがあります。

赤ちゃんの成長には欠かせない栄養素のため、妊娠初期は意識的に摂りましょう。

≪葉酸を多く含む食べ物≫
・ほうれん草
・ブロッコリー
・大豆製品
・いちご
・えのき など


≪主な効果≫
・血液の生成に作用
・タンパク質の合成をサポート
・先天異常である「神経管閉鎖障害」の発症リスクを低減


≪摂り方のポイント≫
・葉酸は熱に弱く水に溶けやすい
・1日当たり480㎍の摂取を心がける※

(推奨量240㎍+妊娠中の負荷量240㎍)
・1日当たり1mg以上摂ると過剰摂取になるので注意

※ただし、妊娠を希望している方や妊娠3か月までの方は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げるために、推奨量240㎍にプラスして、葉酸サプリメントで400㎍の葉酸を摂ることが推奨されています

妊娠期間中の中でも特に妊娠初期、できれば妊娠を希望した段階からは、葉酸が不足しないように心がけましょう

② カルシウム

妊娠初期食べ物

赤ちゃんの骨や歯を作るため、妊娠中は普段よりカルシウムの摂取が必要となります。

不足してしまうと、赤ちゃんの骨や歯を弱らせてしまうことはもちろん、お母さんの骨密度が低下してしまい、肩こりや腰痛の原因にもなります。

≪カルシウムを多く含む食べ物≫
・小松菜などの緑黄色野菜
・小魚類
・干しエビ
・乳製品(牛乳、ヨーグルト)など


≪主な効果≫
・赤ちゃんの骨や歯の形成
・お母さんの骨密度のキープ
・「妊娠高血圧症候群」の予防


≪摂り方のポイント≫
・クエン酸を含む酢やレモンとあわせてとると吸収率アップ
・ナチュラルチーズは避ける
(冷蔵庫に長期間保存され、加熱せずにそのまま食べられる食品は、リステリア菌という細菌による食中毒のリスクがあります。)

妊娠中の女性の1日に必要なカルシウム量は、妊娠前と変わらず650mgとされています。下記のカルシウムの含有量目安を参考に、カルシウムを摂ってみてくださいね。

  • 牛乳200g:約220mg
  • ヨーグルト100g:約120mg
  • 干しえび10g:約710mg
  • 煮干し10g:約220mg

カルシウムは、食材によって吸収率が異なり、乳製品は約50%小魚は約30%緑黄色野菜は約20%となっています。

③ 鉄分

妊娠初期食べ物

ヒトの体の中で血液となる「鉄分」は、必須ミネラルともいわれる重要な成分です。

お母さんは、自分の血液に加えて赤ちゃんのぶんの血液も作る必要があるため、妊娠中期・後期には普段の2倍の鉄分の摂取が推奨されています。

また鉄分が不足するとお母さんが貧血になりやすくなるほか、赤ちゃんに酸素がいきわたらなくなってしまうこともあるため気をつけましょう。

≪鉄分を多く含む食べ物≫
・あさり
・かつお
・小松菜
・納豆 など


≪主な効果≫
・ヘモグロビンとして酸素や栄養を赤ちゃんに届ける
・貧血を予防する


≪摂り方のポイント≫
・ビタミンCやタンパク質が豊富な食べ物と一緒に摂ると吸収率アップ
・コーヒーや紅茶などタンニンを含むものは吸収率を下げるので注意

ちなみに、鉄分の1日の摂取量は妊娠初期には約9mg、妊娠中期・後期には約21mgが目安です。

鉄分不足から貧血気味になるお母さんが多くいるため、赤ちゃんと自分のためにもしっかり鉄分を摂りましょう!

④ ビタミン

妊娠初期食べ物

妊娠中には、積極的に摂るべきビタミンと過剰摂取を避けるべきビタミンがあります。

◆積極的に摂るべきビタミン

妊娠中に積極的に摂るべきビタミンは以下の通りです。

ビタミンB1

・エネルギーを作り出す

玄米、豚肉などに多く含まれる

ビタミンB2

・皮膚や粘膜の健康を維持する

卵、牛乳などに多く含まれる

ビタミンB12 ・葉酸と共にヘモグロビンを作る。
・煮干し、カツオ節などに含まれる。
ビタミンB6 ・皮膚や粘膜の健康を維持する。つわり軽減の作用もある。
・バナナ、鶏肉などに多く含まれる。
ビタミンC ・免疫力を上げる。鉄分の吸収を助ける。
・みかん、パセリ、ブロッコリーなどに多く含まれる。


それぞれの1日の摂取量は以下の通りです。

  • ビタミンB1:【1.3mg】
    豚ひき肉約200g
  • ビタミンB2:【1.5mg】
    牛レバー50mg
  • ビタミンB12:【2.8μg(マイクログラム)】 
    塩サケ1/2切れ(約40g)
  • ビタミンB6:【1.4mg】
    鶏むね肉約200g分
  • ビタミンC:【110mg】
    みかん3個分(約330g)

これらのビタミンは水溶性で尿などによって体内に出やすいため、摂りすぎによる過剰症の心配はほとんどありません。

とはいえ一度に大量の摂取は控えたほうがベターです。

次は、摂りすぎを控えたいビタミンについてご紹介します。

◆過剰摂取を控えるべきビタミン

妊娠中に過剰摂取を控えたいビタミンは以下の3つです。

ビタミンA

・皮膚や粘膜、目の健康を維持する。免疫力を上げる。
・緑黄色野菜・牛レバー・うなぎなどの食材に多く含まれる。
・動物性食品から摂れるビタミンAは、体内に溜まりやすく、蓄積すると赤ちゃんの奇形リスクが高まる

ビタミンD ・カルシウムの吸収を助ける。卵子の状態を良くし、着床しやすくなる。
・鮭・きくらげなどに多く含まれる。
・サプリメントなどで摂りすぎると高カルシウム血症・腎障害・食欲不振・下痢などに陥る。
ビタミンK ・血液凝固作用に関与、骨粗しょう症の予防。
・納豆・モロヘイヤなどに多く含まれる。
・サプリメントなどで摂りすぎると、過剰摂取により赤ちゃんに黄疸が表れる場合がある。

  
どれも過剰摂取しなければ身体にいい栄養素です。

偏食でないかぎり摂りすぎに陥ることはそうないため、バランスのいい食事を心がけましょう。

また、サプリメントを飲む場合は、正しい用法・用量を守って飲むようにしましょう。

ビタミンAは野菜で摂ろう

ビタミンAには
・動物性由来(鶏レバー、うなぎなど)
・植物性由来(にんじん、小松菜など)
の2種類があります。
これらのうち、体内に蓄積して異常を引き起こすのは動物性由来のもの。過剰摂取を防ぐ場合、ビタミンAは緑黄色野菜から摂れば安心です。

⑤ 食物繊維

妊娠初期食べ物

妊娠初期は便秘になりやすいため、食物繊維を意識的に摂りましょう

食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」があります。

両方の食物繊維をバランスよく摂りましょう。

≪食物繊維を多く含む食べ物≫
・水溶性食物繊維
…プルーン、オクラ、納豆など
・不溶性食物繊維
…とうもろこし、さつまいも、大豆、しめじなど


≪主な効果≫
・便秘の予防
・腸内環境を整える
・食べすぎ防止


≪摂り方のポイント≫
水溶性と不溶性を1:2で摂る
・水分と一緒に摂ることで便秘予防効果アップ
・乳酸菌やオリゴ糖も◎

排出しやすい便にするため、油脂類も適度に摂取しましょう。

⑥ タンパク質

妊娠初期食べ物

赤ちゃんの血液や筋肉、身体の主要部分を作る上で欠かせないのがタンパク質です。

≪タンパク質を多く含む食べ物≫
・肉類(牛・豚・鶏など)
・卵
・魚介類
・大豆製品


≪主な効果≫
・赤ちゃんの脳や筋肉、血液、臓器、肌など身体を作る


≪摂り方のポイント≫
・肉類などを食べるときはなるべく脂肪が少ない部位を選ぶ

動物由来のタンパク質と植物由来のタンパク質のどちらかに偏ることなく、バランスよくタンパク質を摂っていきましょう。

◆妊娠初期に摂るべき栄養素まとめ

ここまでで紹介した、妊娠初期に摂るべき栄養素をまとめました。

妊娠初期に摂るべき栄養素

① 葉酸
…ほうれん草、ブロッコリーなど
② カルシウム
…干しエビ、小魚など
③ 鉄分
…小松菜、あさりなど
④ ビタミン
…煮干し・バナナ・ブロッコリーなど
⑤ 食物繊維
…プルーン、とうもろこし、大豆製品など
⑥ タンパク質
…肉類、魚介類、卵など

どれか一つに偏ることなく、まんべんなくバランスの良い食生活でこれらの栄養素を摂れるよう心がけましょう。

次からは、妊娠初期の食生活をすごすコツをご紹介します。

3. 妊娠初期の食生活のコツ

妊娠初期では、栄養素のほかに食生活の面でも気をつけたいことがいくつかあります。
妊娠初期の食生活のコツをご紹介します。

3-1. 食事のときに意識したいこと

妊娠初期食べ物

体に良いといわれている食べ物でも、食べ方を間違えてしまうと逆効果になりかねません。

まずは正しい食生活を確認していきましょう。

① 朝・昼・夜の食事をバランス良く摂る

まず、朝食は一日の原動力になりますので、しっかりと食べましょう。

単品の献立にならぬよう、毎食ごとに、主食・主菜・副菜を揃えられるように心がけましょう。

  • 主食:ごはん・麺などの炭水化物
  • 主菜:肉・魚・卵などのタンパク質
  • 副菜:野菜・きのこなどの食物繊維

② 塩分と調味料は適量を守る

妊娠中の塩分の摂り過ぎは妊娠高血圧症候群の一因となります。
むくみや赤ちゃんの成長を妨げてしまいますので、減塩を心がけましょう。

妊娠初期の一日の塩分量の目安は、小さじ2杯程度の10g以下です。

③ サプリに頼り過ぎない

サプリメントはあくまでも栄養補助食品です。

妊娠中に摂るべき栄養素は毎日の食生活が基本となるため、バランスのいい食生活を心がけましょう。

葉酸はサプリがおすすめ

ちなみに、葉酸などの栄養素はサプリで摂るほうが効率的です。食事とサプリメントを上手に活用しましょう。

④つわりの時期は無理をしない

吐き気や特定の食べ物しか口に出来ない時期は、体が欲するものを食べましょう。ここで無理をしてしまうとストレスになり、赤ちゃんにもよくありません。

なるべくストレスのない生活をしながら、下記のようなつわりを抑えるコツを実践してみましょう!

つわりを抑えるコツ

ポイント①:水分をこまめに摂る
吐き気がひどいときや食べられるものが限られているときも、水分だけはしっかり摂りましょう。

スポーツドリンクは糖分が多く、ビタミンB1不足を招き、ウェルニッケ脳症という病気を引き起こす可能性があります。
糖分の少ないタイプや、ビタミンB1が入っているタイプの経口補水液がおすすめです。


ポイント②:身体を冷やさない
身体が冷えるとホルモンバランスが乱れ、つわりが悪化してしまうことも。


ポイント③:身体を休ませてリラックス
つらいときは横になって身体を休ませたり、眠りたいときに眠ったり…などとリラックスして過ごすことが大切です。

どうしても食べられない場合には、医師に相談することをおすすめします。

次からは、妊娠中に控えたい食べ物をご紹介します。

3-2.妊娠中に控えたい食べ物

ここでは、妊娠初期に

  • なるべく控えたい食べ物
  • 食べてはいけないNG食べ物

について解説します。

◆控えたい食べ物

妊娠初期に控えるべき食べ物

◆お菓子やジュース類
・お母さんの体重増加につながる
・妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の原因にも


◆ジャンクフード、インスタント食品
・インスタント食品には、カルシウムの吸収を妨げるリンが多く含まれているため控えられると◎
・どうしても食べたくなったときは、野菜などで足りない栄養を補う

お菓子やジャンクフード、インスタント食品はどうしても食べたくなったときに少しだけ食べましょう。

◆食べてはいけないNGな食べ物

妊娠初期にNGな食べ物

◆生もの
・お刺身や生魚など火を通していないものはNG
水銀の濃度が高いマグロや深海魚は摂取量に注意が必要!


◆アルコールやカフェイン
・赤ちゃんの脳や体づくりに悪影響を及ぼします
・ノンカフェインの麦茶やルイボスティーに変えましょう

赤ちゃんの健康のためにこれらのNG食品は摂らないように心がけたいですね。

4. まとめ

妊娠初期の食べ物についてお話してきましたが、いかがでしたか?

妊娠中は、今まで経験したことのない変化が訪れ、戸惑うことも多いと思います。

生まれてくる赤ちゃんとお母さんの健康のためには、毎日の正しい食事が一番大事といっても過言ではありません。

辛いつわりの時期ではありますが、無理なく楽しいマタニティライフを送っていきましょう!

※本文中の内容は、時期によって公開時の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。