妊娠9ヶ月と1週目にあたる32週目は、子宮が大きくなり、赤ちゃんが著しく成長する時期です。後期つわりに悩まされたり、身体の不調から精神的に不安定になる方も多いようです。

そこで今回は、

・妊娠32週目の赤ちゃんとおかあさんの様子
・日常生活のポイント

…などを詳しくご紹介します。今のうちにやっておきたいことも多数ご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

1. 妊娠32週目の様子と変化

妊娠32週目は「妊娠後期」と呼ばれる時期です。

赤ちゃんは、ほどよく脂肪がついてよりふっくらとした姿になり、脳が発達して感情が出はじめます

お母さんはその分お腹が大きく前に出てきて、思うように身体が動かせなくなるため、夫や家族の協力が不可欠になる頃です。

では、この時期の赤ちゃんとお母さんの状態について、詳しく見ていきましょう。

1-1. 妊娠32週目の赤ちゃん

この頃の赤ちゃんは、胎毛がなくなり皮膚や皮下脂肪がつきはじめ、身長約41〜45cm、体重1400~2000g程度(個人差あり)に成長します。

内臓器官もほぼできあがり感情も現れはじめ、

  • 瞬きをする
  • 指をしゃぶる

…など、健診時のエコーで可愛い表情が見られるようになりますよ。

お母さんの声もしっかりと判別できるようになります。たくさん話しかけたり、音楽や絵本を読むなど、赤ちゃんにお母さんの声を届けてあげてくださいね。

 1-2. 妊娠32週目のお母さん

赤ちゃんの成長に合わせ、子宮はサッカーボールほどの大きさになり、胃や内臓が圧迫されるようになります。

そのため、後期つわりがひどくなったり、動悸、息切れを感じる人も。より大きなお腹となり、身体が思うように動かせなくなるのもこの頃です。

他には、次のような症状が現れることもあります。

妊娠32週目に現れる症状
◆足のむくみ、こむらがえり
・血液量の増加、冷えや運動不足、塩分の摂りすぎなどにより起こります。指輪がきつい、靴が履けないと感じたら注意しましょう。
◆動悸・息切れ
・子宮が大きくなることで横隔膜が圧迫されて息苦しさを感じます。楽な姿勢で過ごしましょう。

他にも、腰痛や貧血に悩まされたり、切迫早産などのマイナートラブルが起こりやすいのもこの頃の特徴です。

特に、楽な姿勢になっても息苦しさが改善しない時は貧血の場合もありますので、医師に相談しましょう。

1-3.妊娠32週目のトラブル

妊娠32週目に起こりやすいトラブルについてご紹介します。


トラブル① 後期つわり

8ヶ月頃からお腹が大きくなることで胃酸が逆流し、胃痛や吐き気を感じる「後期つわり」の症状が出てきます。

後期つわりの原因と症状
◆原因
・お腹が大きくなって、胃が圧迫される
・プロゲステロンというホルモンの増加
◆症状
・胸やけ、吐き気、ゲップ、胃痛、胃酸の逆流 など

9ヶ月以降は子宮がどんどん大きくなるため「後期つわり」を感じる人が増えますが、妊娠初期のつわりに比べて軽く済むのが特徴です。

  • 楽な姿勢で横になり睡眠をとる
  • 家事はがんばりすぎず、疲れたら休む
  • 消化のよい食事を心がけ一度に食べる量を減らす

…など、リラックスした生活を心がけましょう。また、お医者さんで身体にやさしい漢方薬を処方してもらうのも、一つの手です。


トラブル② 妊娠高血圧症候群

「妊娠高血圧症候群」とは、妊娠20週以降から血圧が高い状態やたんぱく尿のどちらかの症状が現れ、出産12週目で正常値に戻る症状のことです。

高血圧やたんぱく尿で、早い時期に発症するほど重症化する危険が高まるので注意が必要です。

妊娠32週目以降はとくにこの病気を発症するリスクが高まり、一割近くの妊婦さんが当てはまるため注意が必要です。

妊娠高血圧症候群のリスク
◆お母さんへのリスク
・脳出血、子癇(しかん)と呼ばれるけいれん症状
・腎臓・肝臓の機能障害
・最悪の場合は、HELLP(ヘルプ)症候群と呼ばれる肝機能障害や溶血を伴う異常が起こる。
◆赤ちゃんへのリスク
・胎盤から栄養がわたらず胎児の発育が悪くなる(胎児発育不全)
・低体重の赤ちゃんが生まれる(低出生体重児)
・出産前の胎児が胎盤からはがれる(常位胎盤早期剥離)
・最悪の場合は、腹の中で胎児が急死する(子宮内胎児死亡)

症状が悪化した場合は、お母さんも赤ちゃんも危険な状態となります。

帝王切開で赤ちゃんを早めに体外に取り出したり、早産になるケースも考えられるので、身体に異常を感じたらすぐに受診するようにしましょう。

続いて、妊娠32週目の過ごし方についてご紹介します。

2. 妊娠32週目の過ごし方

妊娠32週目はどのように過ごすと良いのか、

…といった点から見ていきましょう。気になるものをチェックしてみてくださいね。

2-1. 妊娠32週目の妊婦健診

妊娠9ヶ月の妊婦健診は、32週と34週の2週に1回のペースで行われます

妊娠32週目の主な健診メニュー
◆体重・血圧測定
◆尿検査
◆経腟超音波検査

…子宮全体の大きさ、卵巣の状況を把握するために膣内から撮影
◆腹部超音波検査
…胎児や胎盤、羊水の観察のために下腹部に検査用器具をあてる
◆内診
◆血液検査(必要に応じて)

 超音波検査ではお腹を出すので、

・着脱しやすいゆったりとした服装
・前開きのワンピースやジャンパースカート

がおすすめです。

お腹が大きくなり、着脱しにくくなるため、前あきのワンピースや、ジャンパースカートタイプのワンピースを持っていると健診時に便利ですよ。

ストッキングやスパッツなどが履きにくくなりますので、寒い季節は長めの靴下やひざ下のタイツなどで身体を冷やさない工夫をしましょう。

また、健診の際は以下の物を持っていきましょう。

持ち物リスト
・母子手帳
・診察券
・健康保険証
・助成券
・お薬手帳(薬を処方される場合もあるため)
・お財布
・その他(病院によって指定される持ち物)

他にも、筆記用具があると医師の診断やアドバイスをメモすることができるので便利です。

また、そろそろ病院や産院で入院準備の指導があるところが多く、書類の手続きが増えて印鑑が必要になる場合もあるので、認印を持っていくことをおすすめします。

また、里帰り出産を希望の場合は、早めに医師へ相談するようにしましょう。

続いては、日常生活で気をつけることについてご紹介します。

2-2. 日常生活で気を付けること

後期つわりなどの不調に悩まされるこの時期に、妊婦さんが日頃から気をつけたいポイントをご紹介します。

ポイント① 転倒に注意

お腹が前に出てくるので、今まで以上に足元が見えにくく、全身のバランスが取りづらくなるため注意が必要です。

・高いヒールはNG!階段や段差に注意しましょう。
・階段の上り下りはゆっくりと。
・足の爪切りや靴下を履くなど、夫や家族のサポートを得る


といったことに気をつけて、安全に衛生的に過ごしてくださいね。

慌てて動いたり、急に立ち上がるのも危険です。普段よりゆっくりと足元に気をつけて行動するようにしましょう。

ポイント② 仰向けで寝ない

お腹の大きくなった妊婦さんが仰向けで寝ると、

  • 血流が悪くなる
  • 急激に血圧が低下する

…といったことから、意識を失ったり失いかけたりしてしまうことがあります。これは「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)」と呼ばれる症状です。

胸やお腹が圧迫されると、動機や息切れの原因になる恐れもあるので、楽な体位で休むようにしましょう。

もし、気分が悪くなったら…

・クッションなどで体を少し起こした状態(30°くらい)にする。
・シムズの体位など、左側を下にして横向きで寝る

など、楽な体勢を探して就寝するようにしましょう。

ポイント③ むくみ対策

妊娠32週以降は、指輪がきつい・靴が履けなくなるなど、むくみの症状が出やすい頃です。

主な原因は、血液量の増加・冷えや運動不足による血流の悪化・ストレス・塩分の摂りすぎ・正しくない姿勢などによるもので、次のような症状が起こります。

・足首が太くなる
・靴が履けなくなる
・ふくらはぎや足の指の皮の突っ張り感
・靴や指輪などが窮屈になる
・顔やまぶたが腫れる


とくに32週目以降でむくみがひどいと、靴のサイズが合わなくなり、転倒の恐れもあるので注意するようにしましょう。

むくみの改善方法
①塩分控えめの食事を心がける
…塩分をひかえめにし、体の塩分を排出しやすくするカリウムの多い食品を摂りましょう。
②足を高い位置に上げる
20cm程度の高さのクッションの上に足を載せ、下に溜まった血液を心臓に戻してあげましょう。
③足をあたためたり、足裏のマッサージなどをする
…リンパマッサージや、パパや周りの人にマッサージしてもらい、むくみを和らげましょう。

これらの方法で改善しない時や、むくみが悪化して、足先のしびれ・ほてりや寒気・口内炎ができやすくなるなどの症状・痛みを伴う場合は、静脈瘤や妊娠高血圧症候群の可能性もあるので、医師に相談することをおすすめします。

2-3. 妊娠中の食事について

ここからは、妊娠後期の食事のポイントについてご紹介します。

妊娠後期はお腹の赤ちゃんへ栄養を供給するため、少し食べ過ぎただけでも体重が増えてしまいます。

とはいえ、厳しい食事制限は赤ちゃんの成長をさまたげることになるため、1日2000~2250kcalを目安に栄養バランスのとれた食事に加えて、

  • 薄味を意識する
  • 栄養バランスを意識した食事をとる

…ということを心がけましょうね。

妊娠中に積極的に摂りたい栄養素は以下のとおりです。

積極的に摂りたい栄養素
《たんぱく質》
・動物性たんぱく質(牛肉など)
・植物性たんぱく質(豆腐・納豆など)
…赤ちゃんが大きくなる時期なので、良質なたんぱく質をバランスよく。
《DHA》
・アジ、サバ、サンマなど
…赤ちゃんの脳や眼といった神経細胞が増える時期。青魚に多く含まれるDHAを摂る。
《食物繊維》
・ひじき、ワカメ、昆布、キウイ、モロヘイヤなど
…後期になりやすい便秘対策に
《​鉄分》
・鶏レバー、枝豆、モロヘイヤなど
…後期になりやすい貧血対策に

後期つわりがひどく、食が細くなっている方は、1回の量を減らして回数を増やすなど、食べられる時に栄養をしっかりと摂るようにしましょう。

◆NG食材とカロリーに注意

過剰な体重増加は、お産のトラブルにつながることがあります。高カロリーな食品は控え、体重管理をしっかりとしましょう。

妊娠後期の体重増加の目安は、1週間に+500gまでが一般的です。

妊娠中は、避けるべき食品・栄養素が多数あります。

NG食材
◆生もの
・お刺身や生魚など火を通していないものはNG
・特に水銀の濃度が高いマグロは特にNG
◆アルコールやカフェイン
・赤ちゃんの脳や体づくりに悪影響を及ぼします
・ノンカフェインの紅茶やルイボスティーに変えましょう

もっと気をつけたい食品について知りたい方は、「知っておきたい妊娠中の食事とルール|おすすめ&NG食品から外食のコツまで」で詳しくご紹介していますので、参考にしてみてくださいね。

続いては、いよいよ産休に入る妊娠中の仕事についてご紹介します。

2-4. 仕事のポイント

産休に入る時期について、法律では、以下のように定められています。

◆「産前休業」
・出産前に取得できるお休みのことで、出産予定日を基準として6週間前から利用できる。双子など、多胎妊娠の場合は14週間前から産前休業を取得することも可能。
◆「産後休暇」
出産後8週間までは、事業主は女性を働かせることができない。

多くのお母さんは、出産日の6週間前にあたる妊娠34週目から産休に入る方が多いのではないでしょうか。

それまでに仕事の引き継ぎを済ませ、円満に産休に入れるようにしましょう。上手な引き継ぎのポイントは以下の通りです。

  • 後任者が決まる前から引き継ぎの準備をはじめる
  • 業務フローや引き継ぎマニュアルを作る
  • 戻ってくる前提で引き継ぎをする

妊娠中は体調を崩しがちなので、産休をとるのであれば、余裕を持って準備に取り掛かりましょう。

後任者が決まらなくても日常の業務を書き出しておく文字で伝わりにくい点は画像等で残しておくなどを心がけましょう。

また、産休の場合は、自分が戻ってきた時の状況を意識して引き継ぐようにしましょう。そのためにも、後任者に滞りなく仕事の流れを把握してもらっておくとスムーズに連携が取れます。

里帰り出産は余裕をもって
里帰り出産予定の方は、4週目を待たずに有給休暇を利用するなどして、余裕をもって産休に入るのがおすすめ。荷造りや遠方までの移動など身体に負担がかかるため、無理のない行動を心がけましょう。

32週目から遅くとも34週目までに、里帰り先の産院で初診を済ませておくとお母さんにとっても気持ちにゆとりがでます。

3. 妊娠32週目にしておきたいこと

ここでは、妊娠32週目にしておきたいことをご紹介します。まずは、妊娠9ヶ月目にしておきたいことは以下の通りです。

妊娠9ヶ月目にしておきたいこと
①入院・出産の荷造りをすませる(里帰りの準備をする)
②公的支援や助成、手当等の手続きを確認する

32週目にしておきたい項目について、詳しくご説明します。

① 入院・出産の荷造りをすませる

入院に必要な荷造りをするだけでなく、心の準備も整えましょう。

病院・産院でも入院指導があったり、里帰りをする人もいる頃です。赤ちゃんも外に出る準備を始めています。いつ出産になっても慌てないように入院準備をすみませておきましょう。

里帰りをする人は、紹介状の手配や交通手段の確認など、健診時に医師に相談するようにしましょう。

② 公的支援や助成、手当等の手続きを確認する

加入している健康保険や厚生年金、住んでいる地区長村によって、出産や育児に関する公的支援や助成が異なります。

一般的な公的支援や助成、手当は下記の通りです。

①加入している健康保険組合へ確認
「出産育児一時金」
・出産1人につき42万円が行政から支払われる制度
「出産手当金」
・産前・産後休暇中に雇用主から給与を受けなかった時に支給される
②居住区の地方自治体窓口へ確認
「高額療養費制度」
・妊娠や出産以外の医療費の自己負担が8万円を超えた場合に支給
「児童手当」
・0歳から15歳までの子供を養育している人に支給される
「子ども医療費助成」
・子どもが病院等で受診した保険医療費を自治体が負担する制度
「認可外保育施設の援助」
・認可外保育施設の保育料の一部を自他体が負担する制度
など

また「社会保険料の免除」や「育児休業給付金」など、産休だけでなく育休をとるお母さんは、必要な手続きを出産前に確認しておきましょう。

自治体によっては、「出産支援祝品(タクシー利用券)」「新生児誕生祝品(お買い物券)」などが支給されるので、事前に調べておくことをおすすめします。

詳しくは「出産にかかる費用まとめ|節約できる9つの公的制度やベビー用品の総額まで全解説」をチェックしてみてくださいね。

他、8ヶ月から継続して、

・妊娠線マッサージ
・胎教


は、続けるようにしましょう。

最後に、お父さんや周りができることについてご紹介します。

4. お父さんや周りができること

この時期のお父さんや周囲の家族・知人にできることについてご紹介します。

◆重い荷物ややりづらいことをサポート

この頃のお母さんは、後ろから支えてあげたくなるほどお腹が大きくなります。

重い荷物や大きな買い物をするときは、旦那さんや周囲が積極的に協力しましょう。夫と一緒にベビーグッズを選んで買うのも楽しいですよ。

また​家事や生活においても、布団の上げ下ろしはもちろん爪切りや靴下を履くこと、お風呂掃除なども大きなお腹がつかえてできなくなる頃です。

できるだけ配慮しながら、負担を軽減してあげましょう。

◆マッサージをしてあげる

32週目のお母さんは、手足がむくみやすくなったり、大きなお腹を抱えて腰痛になるなど、身体の不調を訴えがちです。

腰をさすってあげる、足をマッサージしてあげるなど、できるだけ身体の負担を和らげてあげてください。

◆話を聞いてあげる

お母さんは、出産を間近に控えるだけでなく、産休や里帰りなど環境の変化で気持ちが不安定になりがちです。ただ話を聞いてもらうだけでも不安が和らぎます。

また、父親となるお父さんも不安を感じています。お互いに話し合うことで、不安を和らげ、赤ちゃんを迎える心構えをしましょう。

◆里帰りの場合は、妻を実家まで送る

里帰り出産の場合は、奥さんを実家まで送るようにしましょう。とくに遠方の場合は、途中の交通機関や妊婦さんの身体に何が起こるかわかりません。

どうしても夫が付き添えない場合は、家族や代理の人に頼んで送ってもらうと安心です。

5. まとめ

妊娠32週目のお母さんのための特集はいかがでしたか?
ここで、妊娠32週目で押さえるべきポイントをまとめました。

【注意すべきトラブル】
・後期つわり
・妊娠高血圧症候群
・足のむくみ、こむらがえり
・動機・息切れ
【日常生活のポイント】
・段差や階段など転倒に注意
・仰向けで寝ない
・むくみ対策
【食生活のポイント】
・薄味を意識する
・栄養素を意識して摂る
・カロリーに気をつける
【仕事のポイント】
・産休に入る時期は?

この時期についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてくださいね。

後期つわりや体調が不安定な時期ですが、赤ちゃんに会えるまでもうすぐです。周囲の協力を仰ぎながら乗り越えましょう。